9月23日に開催された富山県動物愛護フェスティバルに参加しました。
当日は開場から閉会時までとても多くの方にご来場いただき、ありがとうございました。
富山県の動物愛護フェスティバルに団体として参加するようになって以来、ピース・アニマルズ・ホームは動物と主に子供たちとの「ふれあい」を担当しています。
「動物愛護」を掲げるイベントでの動物と子供たちとの「ふれあい」の目的は、専門的な「動物介在教育」活動のレベルには至りませんが、動物が身近にいない子供たちに動物にふれる機会を設け、たとえば思い込みのような「動物嫌い」を子供たちが克服するのを手助けしたり、将来的な動物虐待の芽を摘んだり、動物との関わり方を学び、動物に関する様々なトラブルを未然に防ぐことにあります。
子供たちが動物と関わる中で得られるであろう教育的効果には、責任感や倫理意識、思いやり、非言語的コミュニケーション能力や自立心の育成なども挙げられるかもしれませんが、こうしたイベントでの短い時間内では多くの目的の達成は難しく、シンプルなものに限定されるでしょう。
動物たちは、動くぬいぐるみや玩具ではなく、生命をもった存在であり、それにふさわしい関わり方があること。もしこれまで動物たちと身近に接したことがないならば、動物たちと関わることで豊かな世界が広がること。そしてその豊かさを維持するためには、私たち人間の側でしなければならないことが沢山あるということを、たとえ明確に理解はできなくても感じてもらうことができればよいと考えています。
また、ピース・アニマルズ・ホームのブースで「ふれあい」活動に参加する動物たちは基本的に、遺棄・虐待されていたところを保護された動物や、飼養困難となって入所してきた動物です。その場にいる動物たちに、どのような過去があるのか、そうした動物たちには私たちや地域、社会は何ができるのかを考えることも、動物たちとのこれからの関わりを考えてゆく上で何らかの意味を持つでしょう(この点では、参加する動物たちの紹介も何らかの形でできればよかったと思います)。
告知でお知らせしたように、今年はご家族で読書をして頂けるコーナーを設けました。動物との「ふれあい」で感じたことを動物愛護に繋げてゆくには、その体験を考えたり、話し合ったりするプロセスや場が必要です。
これまではそうした環境づくりが十分でなく、啓発活動であることもしっかりと打ち出せず、来場される方にもうまく伝えられていなかったのかではないかと思います。
動物愛護フェスティバルのピース・アニマルズ・ホームのブースに子供たちと共に来場された方たちの多くは、ただ「動物にさわって楽しかった」といった経験だけを子供たちに与えたいと考えているのではなく、先に述べたような目的を漠然とであれ、持っておられるのではないかと思いますし、たとえ娯楽的な目的だけで来場された方も、それに留まらないものを持ち帰っていただくことが大切です。
動物たちが身近にいる空間で、動物に関する本をご家族で読みながら動物愛護に繋がるような話ができたり、これからの生活でそうした話がご家庭や様々な場面でできたりするような機会やヒントを提供できればと考えました。当日は、待ち時間や犬たちにふれる前後の間などに多くの方に読書コーナーをご利用いただけたようで、一定の効果はあったように思います。
来年度以降のピース・アニマルズ・ホームのブースでは、より啓発的な面を重視したものにしてゆきたいと考えています。
パネルや映像装置などを利用して子供たちの関心を惹きながら、動物への関わり方や動物愛護の精神をわかりやすく伝える工夫をしたり、待ち時間を快適かつ有効にすごしていただける環境を整えたり、ブースを担当するスタッフが、動物愛護法の精神や本県の動物愛護推進計画の考えを今以上によりよく理解し、県・動物管理センターの「ふれあい教室」の内容や方針を踏まえたスタンスで対応できるようになることも大事であると考えています。
参加する動物たちの安全を今以上に確保する必要もあります。
「ふれあい」コーナーに参加させる動物にはウサギもよいのではないかという意見があり、これまでの「ふれあい」コーナーでは犬以外にウサギも参加させてきました。ウサギは学校で飼育されることが多く、子供たちに馴染みのある動物でもあります。「ふれあい」コーナーでウサギの適切なふれ方を学ぶことで、ふれ方を知らなかった子供がウサギの耳をもったり、不安定な仕方でウサギを抱いてウサギに怪我を負わせるような事態を未然に防ぐ効果などはあるかもしれません。しかし、骨折しやすく、ストレスに弱いウサギは不特定多数の人との「ふれあい」には向いていないと私たちは考えています。
これまで参加させてきたウサギたちは比較的人慣れしており、子供たちがふれる際にはスタッフが十分注意を払ってきました。幸い、トラブルは起きてはいませんが、動物たちにリスクを負わせる可能性があると考えられるならば、活動に参加させることは望ましくありません。こうした理由から、今年度からはウサギを参加させることを控え、犬たちを主軸として参加することにしました。
参加した犬たちには適宜に休息をとらせ、テントの下とはいえ熱射病に注意して体調管理に努めました。この点については、参加させる動物の選定から十分な注意を払っていますが、動物たちの関わらせ方についても様々な観点から、より良いあり方を模索し続けることになると思います。
動物管理センターの敷地内での開催という条件を生かし、私たちのブースで動物愛護に関心を持たれた方に、動物管理センターの動物愛護事業や県内での様々な活動をスムーズにご案内できるようにしたり、来場された方からの感想や質問などをフィードバックできたりするような環境を整えることも考えてみたいところです。
県民の皆さんの動物愛護に寄せる関心や期待に応えられるようなフェスティバルとしてはどのようなあり方が望ましいか、皆さんからの考えを聞き、よいアイデアがあればそれを取り入れて、本県の動物愛護の啓発活動を充実させてゆきたいと考えています。
皆さんのご協力をお願いします。