富山県動物管理センターにて開催された、富山県動物愛護推進員を対象とした動物管理センターの施設見学会と意見交換会に出席しました。
動物管理センターの略歴・業務内容、本県の動物管理業務の統計(動物の引取り・譲渡・仲介・殺処分数)などを概観し、手術室をはじめ、センターが引き取ることになった犬猫の保護室や致死処分場を含めて見学した後、猫の致死処分数減少を主題とした意見交換会を行いました。
本県においては、猫の所有者からの引き取り要請の理由の最たるものは、避妊・去勢処置を講じなかった為に発生する計画外・予想外の繁殖であり(約6割)、致死処分となった猫の7割が離乳前後の乳幼児です。
昨年度より本県の動物管理センターでは、収容された仔猫の内で状態がよい仔猫の譲渡を開始しましたが、育成に手がかかる離乳前後の幼猫への対処は人員的に困難であり、致死処分せずにはいられないという深刻な問題を抱えています。譲渡を主要な事業として位置づけていなかった頃にセンターの建物が設計・設立された為か、犬同様に猫の収容スペースも十分には確保されておりません。
また、本県では犬のしつけ教室に関しては動物管理センターでも定期的に行われておりますが、猫のしつけ教室は近年は行われておらず、県民の皆さんにも猫の生態や猫との関わり方について十分な知識が行き届いているとは言い難い現状が、結果として致死処分に至る不本意な猫の繁殖やいわゆる野良猫たちへの適切ではない関わり方に繋がり、致死処分数の増加に影響しているかもしれません。
猫を巡るこうした現状に対し、他都道府県の動物行政の取り組みや制度を参考にしながら、啓発パネル展や猫教室の開催などで、不本意な繁殖と猫に由来する近隣トラブルなどを減らせるような、猫との適正な関わり方や飼養の仕方を県民の皆さんに広く知って頂く試みができないか、また譲渡率の向上の為に離乳前後の仔猫の育成ボランティアや、収容スペースの限界対策となりうる、人馴れして譲渡対象となりうる成猫の預かりボランティア制度などを設定し、譲渡率をあげることができないかという問題提起が意見交換会では行われました。
今回の意見交換会は問題提起に留まり、啓発事業の具体的な内容や実現可能性まではふれられませんでしたが、猫の譲渡と致死処分率に関しては長年、決して良いとは言えない数値を出している本県が状況の改善に向けて歩みだした一歩ではなかったかと思います。
動物の殺処分数削減は行政や一部の動物愛護団体関係者だけでは予算・マンパワー・施設環境などの点で限界があります。殺処分数削減に向けて、ピース・アニマルズ・ホームはその努力を惜しみませんが、県民の皆さんの積極的かつ主体的なご協力とご理解を是非ともお願いします。